No.6 江國香織の使い方? |
2月の終わりに、夜行バスの中での退屈な時間を本を読みながら過ごそうと思い、
ふらりと本屋に入り江國香織のエッセイを1冊買って、バスに乗った。
最近は小説を読むこともほとんどないから読みきれる自信がないけど、
エッセイのような読み切りだと気分的に楽だから、
それに好きな人の話を聞く(読む)というのは楽しいから、
ここ数年読んだのは詩やエッセイばかり。(漫画の方が圧倒的に多い)
「久しぶりだね、香織ちゃん」などと、カバーにある写真(いつの写真なんだろう?)を見たりして、
読み始めたらバスの中はあっさりと就寝時間で真っ暗になってしまった。
「久しぶりに会ったんだから、もう少しくらい、いいじゃんね!」
ぼくは食い下がって座席の前の小さな個人用の照明を点けて読み続けた。
彼女の文章が好きだ。
彼女の句読点のリズムに合わせて読むと、とても落ち着く。
描写が頭の中で映像化しやすい。
気持ちが、光景に染まる。というのは逆か、光景の中に気持ちが出てる、と思う。
自分がいちばん思うのは、この人の文章は時々、
自分の中で忘れていた感覚をふいに思い出させてくれるということ。
懐かしい感覚を、みずみずしい表現でうるわせてくれながら取り戻してくれる、その瞬間を味わう幸せ。
まぁ、初めて読んだ時には「みずみずしい」などとも思うことなく、
静かな文章だなぁ、くらいしか思ってなかったのだけど。
結局3冊、たてつづけに読んでしまった。
(「いくつもの週末」「都の子」「泣かない子供」、個人的には結婚生活を書いた「いくつもの週末」がいちばん面白かった)
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